さいかい。






ことばは、ひとのからだのなかに入るとゆれるそうです。
それが強いものであればあるほど、ぐらぐらと。


カラダのなかで反響したことばは、
口から飛び出して、まただれかのなかに入って、ゆれて
それを何度も何度もくりかえして、大きく大きくなっていくそうです。


たとえば、たいしたことないと思ったものでも
たとえば、かんたんな気持ちでいったものでも


だれかのなかに入って、ゆれて、つたわって、ゆれて、
何度も何度もくりかえして、大きくなって。


かんたんな気持ちで、たいしたことのなかったはずのことばは
セカイの果てで、どこか遠くで、自分のしらないところで、
大きくぐらぐらとゆれて、つたわっていって

だれかのいのちをうばってしまうこともあるそうです。



自分はこの話を聞いたときに、こわいと思いました。
話すこともすきで、書くこともすきで、
だれかに自分の言葉をつたえる手段を持っているからです。

だれかのなかに入ってゆれるわたしの言葉は、
うばってしまうためのものでなく
もっと違うかたちのものになっていてほしいと思って、
いつも作品に取り組んでいます。




どうかこの文章が、ゆれてゆれて、つたわりますように。











*連載再開しました。
『欲ハニ』
act.21 飼い主の命令。

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